エンタメ雑記メディア『カツヒロ』

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【感想・書評】『本と鍵の季節』米澤穂信 「青春」と「ミステリー」の両面が気持ちいい

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勉強だったり、部活だったり、イベントだったり。皆さんも「高校生活」にはさまざまな思い出があるのではないでしょうか?ぼくも高校生活では部活に勤しんだり、文化祭などのイベントで張り切って準備をしたり、いろんな思い出があります。

 

今回の記事では、そんな「高校生活」の中である男子高校生2人が出会う、さまざまな「謎」を扱った小説『本と鍵の季節』について書いていきたいと思います。

 

 

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本と鍵の季節 (単行本)

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『本と鍵の季節』のあらすじや作品紹介

『本と鍵の季節』あらすじ

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。

(Amazon紹介文より引用)

 

『本と鍵の季節』の主人公はふたり。物語の語りで図書委員の堀川二郎と、その友人で同じく図書委員の松倉師門を中心に、身の回りで起こる事件をコンビで解決していく、というストーリーです。

 

全6篇の短編集でそれぞれのストーリーが魅力的。「真面目な堀川」と「皮肉屋の松倉」の対比が面白いんですよね。しかも性格はまるっきり別々なのに、頭の良さは同じくらいで、会話もウィット富んでいてかっこいい。ときどき、17歳の主人公たちとは思えないほどの会話と推理をします。

さらにそれぞれ事件に対して「異なる視点」を持っていて、「ひとりの推理ではたどり着けないところまでふたりならたどり着ける」的な関係性が素敵でした。「こんな親友が高校時代に欲しかったな 〜」と思うと同時に、「図書委員になりたかった〜」と思ってしまいました(笑)

 

 

著者:米澤穂信と代表作

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著者である米澤穂信はアニメ化・映画化した『氷菓』や、藤原竜也主演で映画化した『インシテミル』、NHKでドラマ化された『満願』などが有名です。

本格的なミステリー作品が多く、考え抜かれた素晴らしいストーリーが魅力ですね。

 

映画『インシテミル』では藤原竜也の演技に目が奪われてしまいがちですが、それを支える「ストーリー」があってこそでした。個人的には描写も細かく、ハラハラする展開に拍車がかかるので、小説版の方が断然オススメです。「原作版を読んでない」という方は、ぜひ米澤穂信作品の原作本を読んでみてください。

 

氷菓 (角川文庫)

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インシテミル (文春文庫)

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満願 (新潮文庫)

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『本と鍵の季節』エピソード紹介と感想

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三年生が引退して静かになった図書館で仕事をする堀川と松倉。そんな図書館に引退した三年生:浦上がやってきます。その理由は祖父が残した「開かずの金庫」を開けること。先輩の頼みを断りきれないふたりは、浦上先輩の家を尋ねるが…

 

「これぞ青春ミステリー!」という作品を1本目に持ってきてくれました。グッと物語に引き込んでくれるというか、それぞれの登場人物の性格がきちんとわかるというか。短編集の1作目にふさわしかったですね。

ストーリーもきちんとオチを用意していて、よくこの文量で濃密なストーリーが描けるな〜と感心します。

 

ロックオンロッカー

髪が伸びた堀川と松倉。ふたりは割引券を持って、美容室に向かいます。その美容室では荷物をロッカーに入れ、貴重品だけをビニールポーチに入れて持ち歩くシステム。「貴重品は必ずお手元にお持ちください」。髪を切り終わり店を出ると、松倉が急に「面白い見世物がある」と、堀川に伝える。果たして「面白い見世物」とは?

 

日常の中から「些細な違和感」を見つけることがとてもうまいです。日常にも謎ってたくさんあるんですよね。 堀川と松倉の「観察眼」と「推理力」が冴え渡っていました。

「高校生でこんなに推理力ある?」と考えるのは邪推です(笑)

 

金曜に彼は何をしていたのか

学校の窓ガラスが何者かに割られた。疑われたのは素行不良で、何回か問題を起こしたことのある植田の兄。困り切った植田は、図書委員の先輩である堀川と松倉に「兄のアリバイを探してくれ」と頼む。植田の兄のアリバイは見つかるのか?そして真犯人は?

 

 「こういう展開もあるのね」という感想。作者のバラエティの多さに驚きました。

このエピソードの最後、

「立ち去る松倉の背中は、知らない男のそれのように見えていた。」

というシーンでは「あれ?」というかすかな胸の引っかかりを覚えます。 

 

ない本

ある三年生が自殺した。自殺した香田の遺書を探している長谷川先輩が図書館にやってくる。香田先輩は本が好きで、亡くなる直前にもある本を読んでいたらしい。「その本に遺書が隠されている」と考えた長谷川先輩は本を探しに図書館へ。なかなかその本を見つけられない長谷川先輩を手伝うことになるが…

 

「これ以外のタイトルはないでしょ!」と思うほどのタイトル。 

「どうも俺は人を信じるのが苦手だ。心からの言葉でも、狙いはなんだと疑っちまう。その点、お前は偉い。先輩の話をまともに聞いたんだな。尊敬する……これは、言葉通りに受け取ってくれ」

と、堀川と松倉の違いが明確になったエピソードでもありました。「この違いが大きいんだよな〜」と後々のエピソードを読むとわかります。

 

 

昔話を聞かせてくれよ

堀川の昔話。その昔話は子どもの時の思い出を含んだほろ苦い思い出話だった。その話を聞いた後に松倉が話し始めたのは「ある自営業者と泥棒」の話。その話は「今につながる謎」を含む話だった。ふたりは物語最大の謎に取り掛かることになる

 

全ての伏線がつながるエピソード。『本と鍵の季節』の集大成とも言えるようなエピソードです。どっぷりストーリーに浸かることができました。謎解きだけでなく、堀川と松倉の心情にも注目して読んでほしいエピソードです。

自分が堀川だったら、どのように行動を取るんでしょうね……

 

友よ知るなかれ

松倉との宝探しを終えた堀川。スッキリしない終わり方をした「宝探し」の真相を探すために、堀川は図書館へと向かう。果たして「宝探し」の真相は?

 

『昔話を聞かせてくれよ』の後日譚。残された謎が全て明らかになります。

言えるのはこれだけです(笑)

 

 

『本と鍵の季節』個人的感想

全ての謎をといた堀川次郎。物語の最後、図書室で松倉を待つ姿を想像すると、なんだか感慨深くなってしまいます。

 

『本と鍵の季節』全体を通して、堀川と松倉の関係性が変化しているんですよね。元は「ただの図書委員仲間」だったはずのふたりが、エピソードを経るごとに「友人・親友」になり行動を共にしていたに気がつきます。

そんな「友情の変化」こそが青春小説のいいところ。若いふたりが主人公だったので、傷つくことも、どのように問題に対処していいかわからなくなることもあります。『本と鍵の季節』は、誰もが感じたことのあるような「青春時代特有の歯がゆい思い」も思い出させてくれます。

さらに『本と鍵の季節』はミステリーの要素もバッチリ。米澤穂信にミステリーを書かせたら一級品になることはわかっているんですけどね(笑)

 

なんだか高校の図書室に行きたくなりましたね〜。いつか母校の図書室にも行ってみたいと思います。

「青春小説」と「ミステリー小説」の要素をきちんと丁寧に詰め込んだ『本と鍵の季節』。誰にでもオススメできる作品でした。ぜひ興味のある方はチェックしてみてくださいね。

 

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