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【レビュー&感想】映画『ゼロ・ダーク・サーティ』 戦争が生み出す「狂気」と「緊張感」の描写がすさまじい

本記事は『【レビュー&感想】映画『ゼロ・ダーク・サーティ』』の記事です。

 

Zero Dark Thirty (2012) 

2001年9月11日。

当時、小学一年生だったはずのぼくの目にも、飛行機がビルに追突していく「信じられない光景」として記憶に残っています。

 

アメリカで起こった「過去最悪のテロ事件」でもある9.11。

そんな「9.11」から、テロの首謀者とされるオサマ・ビン・ラディン殺害までを描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』。

 

ひとりの女性の視点から、「テロとの戦い」を詳細に描いた作品となっていて、「ここまでリアルに戦争を描いた作品はない」と思います。

それほどまでに、この作品のリアルな緊迫感に勝てる映画はないと思います。

 

『ゼロ・ダーク・サーティ』は、第85回アカデミー賞で、作品、主演女優、脚本など5部門にノミネートされ、音響編集賞で受賞した作品。その前評判のとおり、さまざまな「答えのない問い」を提示するメッセージ性の強い映画となっていました。

 

今回はそんな『ゼロ・ダーク・サーティ』のレビューと感想を書いていきたいと思います。

 

▽映画レビューの過去記事はこちらからどうぞ▽

journal-katsuhiro.hatenablog.com

 

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【ネタバレなし】「ゼロ・ダーク・サーティ」のあらすじと作品情報

「ゼロ・ダーク・サーティ」のあらすじ

2011年5月2日に実行された、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン捕縛・暗殺作戦の裏側を、「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が映画化。テロリストの追跡を専門とするCIAの女性分析官マヤを中心に、作戦に携わった人々の苦悩や使命感、執念を描き出していく。9・11テロ後、CIAは巨額の予算をつぎ込みビンラディンを追うが、何の手がかりも得られずにいた。そんな中、CIAのパキスタン支局に若く優秀な女性分析官のマヤが派遣される。マヤはやがて、ビンラディンに繋がると思われるアブ・アフメドという男の存在をつかむが……。

(映画.com より抜粋)

 

「ゼロ・ダーク・サーティ」の予告編はこちらから▽ 

 

「ゼロ・ダーク・サーティ」の映画概要

【原題】Zero Dark Thirty

【監督】キャスリン・ピグロー

【上映時間】158分

【日本公開日】2013年2月15日(金)

【出演】 

ジェシカ・チャステイン

ジェイソン・クラーク

ジョエル・エドガーソン

ジェニファー・イーリー

マーク・ストロング

 

 

監督はキャスリン・ピグロー

戦争映画に定評がある監督で、リアルでクオリティの高い作品作りが魅力の監督です。戦争映画である『ハート・ロッカー』で、オスカーを受賞した監督と脚本、プロデューサーなどがそのまま同じメンバーで『ゼロ・ダーク・サーティ』の制作に当たります。

 

主演は『ヘルプ 心がつなぐストーリー』や『インターステラー』などの有名作品に出演歴のあるジェシカ・チャステイン

『ゼロ・ダーク・サーティ』の主人公:マヤは、一人芝居が多い役柄。感情が揺れ動く難しい役でしたが、ジェシカ・チャステインの演技が鬼気迫るモノがあり、ストーリーと上手くマッチしていました。

(彼女以外に、マヤの感情の機微を表現できる人はいなかったと思います。

 

脇を固める役も豪華で、米海軍特殊部隊の隊員をジェイソン・クラークが熱演。ジェイソン・クラークは『ウォール・ストリート』や『華麗なるギャツビー』などの話題作にも出演しており、実力派の俳優として知られています。

 

 

 

【ネタバレあり!】「ゼロ・ダーク・サーティ」のネタバレまとめと感想

 

 

 

 

 

 

以降、ネタバレもバンバンあるので、「まだ観てないよ!」という人はご注意ください。

 

 

 

 

 

『ゼロ・ダーク・サーティ』のポイントは2つ

  • リアルすぎる戦争描写
  • 「どこへ行くんだい?」とマヤの涙

 

戦争映画ということもあり、全体的に重い雰囲気が漂う作品でした。

 

ただ『ゼロ・ダーク・サーティ』の「メッセージ性」は非常に高く、さまざまな「答えのない問い」を観ている人に提供します。

 

映画を観る前は、アメリカ制作のため「俺たちはテロとの戦いに勝ったんだ」というプロパガンダ作品の側面もあるのかな?と思っていました。

しかし、それは全くの異なっており「戦争に勝者はいない」ということをまじまじと観せられた気がします。 

 

以降、2つのポイントについて詳しく書いていきます。

 

リアルすぎる戦争描写/主人公マヤの「狂気」

Jessica Chastain in Zero Dark Thirty (2012)

 

何よりもまず『ゼロ・ダーク・サーティ』の特徴としてあげられるのは「リアルな戦争描写」です。

 

『ゼロ・ダーク・サーティ』は、CIAの女性捜査官:マヤを中心にストーリーは進行し、ビン・ラディンを発見・殺害するまでを描いた作品ですが、クライマックスに到るまでに、さまざまな出来事が起こります。

 

ストーリー冒頭は「9.11」の実際の音声が使用され、その後も拷問、テロ描写、CIA内の緊迫した空気感、さらにはクライマックスのビン・ラディン殺害、とまさに「テロとの戦い」をこれでもか、というほどに描きます。

 

緊迫した空気感がストーリーを通して張り詰めっぱなしで、身体的、精神的にすり減っていくマヤとその仲間たちの描写も印象的でした。マヤ自身もアルカイダのブラックリストに載ってしまい、「ガレージから出た瞬間に銃撃される」というシーンもあったり、上司であるダニエルが精神的に摩耗してアメリカに帰るなど、戦争のリアルが描かれていました。

 

 

そんな「戦争描写」のなかでも、特に圧巻だったのが主人公であるマヤの「狂気」の描き方

 

前半部でも「ある種の執念」のようなものを持ってマヤはビン・ラディンの行方を追いますが、後半部では「ある事件」をきっかけにその執念は「狂気」に変わっていきます。ぼくは「戦争はここまで人を変えるものなのか……」と恐怖に似た感情をマヤに抱きました。

 

「ビン・ラディンを見つけ出す」ということだけを目的に生きているような緊迫感を持つマヤ。その鬼気迫るような表情には、緊迫した雰囲気が溢れ出ていました。 

 

(マヤを演じたジェシカ・チャステインは、この演技でアカデミー主演女優賞にノミネートされました。) 

 

「どこへ行くんだい?」とマヤの涙 

Jessica Chastain in Zero Dark Thirty (2012)

最大のネタバレになってしまいますが、クライマックスを語らずして『ゼロ・ダーク・サーティ』の魅力を最大限に伝えることはできません。

 

ビン・ラディンを発見・殺害したあと、ラストシーンで戦場から立ち去るマヤに「どこへ行きたい?」「どこへ行くんだい?」と問いかけます。その質問にマヤはひとことも返す言葉を見つけられずに、ただ涙を流します。

 

思い返してみれば、約10年もビン・ラディンを探し出し、テロとの戦いを終わらせるという「正義」のためにマヤは奔走し続けました。しかし、ビン・ラディンを発見・殺害したあとには「虚無感」と「やるせなさ」しか残りません。

 

ラストシーンは、さまざまな推測や解説がされ、メッセージ性に溢れた終わり方となっています。そんなラストシーンについてキャスリン・ピグロー監督はこのように語っています。

マヤが涙を流すのは、ビン・ラディンの死が単純な勝利ではなく、アメリカや国際社会の「次は何だ?」という疑問があるからです。同様、10年の間、ただひたすらビン・ラディンを追うことに身を捧げて来たマヤには、次に彼女の人生に何が訪れるのかわかりません。文字通り、彼女はそこから何処に行けるのかわからないのです。(キャスリン・ビグロー監督)

 

現実の世界では、元凶であったはずのビン・ラディンを殺害したからといって「世界に平和が訪れる」というハッピーエンドはありません。そんな世界で「正義」のためにビン・ラディンを追い続けてきたマヤは、どのように生きていけばいいのか?そんな問いかけを「どこへ行くんだい?」が端的に表しているのです。

 

また、ラストシーンはそのままぼくたち全人類への問いかけになっています。

 

「正義」や「戦争」に関する問いかけは、明確な答えを持ちません。

その「答えのない問い」を観客に与え、考えさせる『ゼロ・ダーク・サーティ』はやはり深い魅力を持つ作品でした。

 

 

 

【ネタバレあり】『ゼロ・ダーク・サーティ』のカンタンまとめと個人的感想

個人的な感想としては、『ゼロ・ダーク・サーティ』は観るのが辛い作品でした。

過激な戦争描写や、終わりのないテロとの戦いなど、観ていて息の詰まるようなシーンの連続だったかのように思います。

 

しかし、そのような「観るのが辛い映画」だからこそ、「観なくてはいけない作品」だと個人的には感じます。

 

決してハッピーエンドとは言えないような終わり方をする『ゼロ・ダーク・サーティ』。モヤモヤした「答えの出ない感情」が心に残り続けます。

しかし、「答えの出ない感情」が心に残り続ける分だけ、最後のシーンでマヤに投げかけられた「どこへ行きたい?」という質問への答えを探させます

 

簡単な言葉で、まとめてしまうのが心苦しいほどに『ゼロ・ダーク・サーティ』はメッセージ性がある作品です。

戦争映画のなかでも、リアリティ色が強い作品なので、観る人によって好き嫌いが出る映画ですが、興味のある人が観たら絶対に後悔しない作品となっています。

 

歴史の1ページとして残り続ける「9.11」の結末を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』

傑作として残り続ける現代の巨作のひとつです。

 

 

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